○開町百年記念喜茂別町防災基本条例

平成28年9月20日

条例第22号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 自助(第5条・第6条)

第3章 共助(第7条―第9条)

第4章 公助

第1節 基本方針(第10条―第12条)

第2節 協働による災害対策の推進(第13条―第18条)

第3節 災害に強いまちづくりの推進(第19条―第28条)

第5章 雑則(第29条)

附則

本町では、昭和56年の台風12号及び15号や平成16年の台風18号など、町民の生命や財産に大きな被害をもたらした災害が発生しました。また、平成23年3月に発生した東日本大震災、平成28年4月に発生した熊本地震は、多くの尊い生命と財産を一瞬にして奪い、人々の生活に甚大な被害をもたらし、想定を超える未曾有の被害が発生し、行政による災害対応が明らかになる一方で、地域社会による助け合いの重要性が改めて認識されました。

これらの大規模な自然災害に対しては、ハード面を整備することで災害を防ぐ「防災」のみならず、災害による被害を軽減する「減災」にむけた取組が重要視されています。

大規模な災害は一度に甚大な被害をもたらすため、公的機関による「公助」には限界があり、自らのことは自らが守るという「自助」や地域において助け合いお互いを守る「共助」がいかに大切であるかということが改めて教訓として見直されています。また、泊原子力発電所が災害等により被害を受けた際には、内陸部に位置することや国道230号及び276号等の交通の便の良い立地条件を活かして、喜茂別町が他の地方公共団体の支援のための拠点としての役割を担っていく必要があります。

それらを実現するためには、地域社会における防災活動の基盤となる人と人との繋がりを大切にし、地域コミュニティの維持及び発展に取り組んでいかなければなりません。

地域において災害の経験や教訓を次世代に継承し、常日頃から防災や減災について学び、準備し、そしていざというときには防災及び減災行動をとることができるような文化的風土を作っていくことが大切です。

この「防災・減災文化」が地域に定着することによって、全ての人が安心して安全に暮らすことができるよう、災害に強い喜茂別のまちの実現を目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、災害対策に関する町民、事業者及び喜茂別町(以下「町」という。)の責務を明らかにするとともに、それぞれが個別に又は連携・協働して推進する災害対策の基本事項を定めることにより、災害対策を総合的かつ計画的に推進し、被害を最小限にとどめ、もって町民が安全で安心して暮らすことのできる災害に強いまちを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、地滑り、雪崩、地震その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

(2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

(3) 自主防災組織 町内会、地区会等(以下「町内会等」という。)を単位として、自主的に結成された防災組織をいう。

(4) 要配慮者 高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する者をいう。

(5) 避難行動要支援者 要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者をいう。

(6) 町民 町内に住所を有する者及び居住する者をいう。

(7) 事業者 町内で事業活動を行う個人、法人その他団体をいう。

(8) 原子力災害 原子力緊急事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる災害をいう。

(9) 代替オフサイトセンター 原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態応急対策等拠点施設の指定又は指定の変更に係る手続き等に関する規程(平成28年府政原防134号)第3条の規定に基づき指定された施設をいう。

(基本理念)

第3条 全ての町民、事業者及び町は、災害に備える責務があり、自らの安全は自らが守ることを基本とする。さらに、それぞれが連携を図り、災害が発生した場合における被害を軽減するため、次に掲げる理念に基づき、災害対策の充実及び強化に努める。

(1) 自らのことは自らが守る自助の理念

(2) 地域において助け合いお互いを守る共助の理念

(3) 町が町民及び事業者を災害から守る公助の理念

(地域防災計画への反映)

第4条 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第16条第1項の規定により設置した喜茂別町防災会議は、法第42条第1項の規定により作成した喜茂別町地域防災計画を修正するにあたっては、前条に規定する基本理念を反映させなければならない。

第2章 自助

(町民の自助)

第5条 町民は、次に掲げる事項について、自ら災害に備える手段を講ずるよう努めなければならない。

(1) 自らが居住し、又は使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 出火の防止のための措置を講ずること。

(3) 災害時の初期対応に必要な用具の準備を行うこと。

(4) 災害時に必要な飲料水、食料等及び災害時に自らが必要とする物資の備蓄又は確保を図ること。

(5) 避難場所及び避難方法を確認すること。

(6) 災害時の家族等との連絡先、連絡方法及び集合場所を確認すること。

(7) 災害に関する情報を取得すること。

(8) 町が実施する防災に関する訓練及び研修に積極的かつ継続的に参加すること。

(9) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項。

2 町民は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合(以下「災害発生時等」という。)において、当該災害に関する情報に留意し、必要と判断したときは、自主的に避難するとともに、町から避難勧告若しくは避難指示の発令があったときは、速やかにこれに応じて行動するものとする。

(事業者の自助)

第6条 事業者は、従業員及び顧客(以下「従業員等」という。)の安全の確保のため、次に掲げる事項について、災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 事業活動で使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 事業活動で使用する物品等の転倒、落下等の防止のための措置を講ずること。

(3) 出火の防止のための措置を講ずること。

(4) 災害時に必要な飲料水、食料等及び災害時に従業員等が必要とする物資の備蓄又は確保を図ること。

(5) 避難経路、避難場所及び避難方法についての確認及び従業員等への周知を行うこと。

(6) 災害時における情報の取得及び伝達の手段の確認及び確保並びに従業員等への周知を行うこと。

(7) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項。

第3章 共助

(町民の共助)

第7条 町民は、地域社会の一員として、互いの生命、身体財産を災害から守るため、自主防災組織の活動に積極的に参加するよう努めるものとする。

(自主防災組織の共助)

第8条 自主防災組織は、町民、消防団、事業者等と協力し、地域における防災活動を実施するとともに、地域住民の安全確保に努めなければならない。

(事業者による共助)

第9条 事業者は、町民及び自主防災組織と連携し、地域における防災活動に協力するよう努めなければならない。

第4章 公助

第1節 基本方針

(基本方針)

第10条 町は、第3条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、災害対策を推進するものとする。

(1) 町民及び事業者との協働により、災害対策を推進すること。

(2) 災害時の備えを中心とした災害に強いまちづくりを推進すること。

(3) 町の地域特性に応じた災害対策を推進すること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項。

(町の責務)

第11条 町は、法第5条の規定に基づき、災害の予防、災害が発生した際の応急対策及び災害の復旧に関する必要な対策(以下「災害対策事業」という。)を推進することにより、町民の生命、身体及び財産を災害から守るとともに、安全を確保しなければならない。

2 町は、防災及び災害対策のため、国、北海道、他の地方公共団体及び関係機関との連携協力に努めなければならない。

3 町は、災害対策事業を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(町の職員の責務)

第12条 町の職員は、町民の安全な生活を確保するため、防災に関する知識及び技術の習得に努めなければならない。

第2節 協働による災害対策の推進

(自主防災組織の育成及び支援)

第13条 町は、町民、町内会等、自主防災組織その他防災に関する活動を行う団体が地域において自発的かつ組織的に行う防災に関する活動(以下「自主防災活動」という。)を推進するため、積極的に支援及び協力を行うものとする。

2 町内会等、自主防災組織、消防団その他防災に関する活動を行う団体及び民生委員法(昭和23年法律第198号)に規定する民生委員(以下「民生委員」という。)は、災害時の対応を円滑に行うため、平常時から連携を図るように努めるものとする。

(避難行動要支援者への支援)

第14条 町は、避難行動要支援者に配慮し、避難所のバリアフリー化、物資の備蓄その他の支援対策を行うものとする。

2 町内会等、自主防災組織、消防団及び民生委員は、相互に協力して避難行動要支援者の支援に努めるものとする。

3 避難行動要支援者は、自らの住まいの安全の確保に努めるとともに、避難の支援を受けるために必要な情報の提供、福祉関係者等との関係づくりに努めるものとする。

4 町は、避難行動要支援者への支援を促進するため、法第49条の11第2項の規定に基づき、法第49条の10第1項に規定する避難行動要支援者として地域防災計画で定める者の名簿又は当該名簿に記載し、若しくは記録された情報(以下「名簿情報」という。)を避難支援等関係者に対し提供するものとする。

5 前項の規定により、名簿情報の提供を受けた者は、避難行動要支援者の支援を円滑に行うための整備に努め、当該名簿情報を適正に管理するとともに、正当な理由なく避難行動要支援者に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(知識の普及)

第15条 町は、防災に関する知識の普及を積極的に推進するとともに、防災教育の充実を図り、町民の防災知識の向上及び防災意識の高揚に努めなければならない。

2 町民、町内会等及び自主防災組織は、過去の災害に関する教訓及び先人からの災害に関する伝承を後世へと引き継ぐよう努めるものとする。

(防災訓練の実施)

第16条 町は、国、北海道及び関連機関と連携を図り、防災訓練を実施するよう努めなければならない。

(情報収集及び伝達)

第17条 町は、危険個所、避難場所等その他災害対策に係る施設等を表示した地図を作成し、災害対策に関する情報を町民に提供しなければならない。

2 町は、災害発生時等における情報を早急かつ正確に把握し、町民が避難場所等においてこれらの情報を入手できる体制を整備しなければならない。

3 町は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に、その状況について総合的かつ合理的な判断を行い、必要と認めるときは、迅速かつ的確に町民及び事業者に対して避難のための準備情報を発し、避難を勧告若しくは指示しなければならない。

4 町は、前項の規定により避難のための準備情報の発信、避難の勧告若しくは避難の指示をしたときは、速やかにこれらに係る情報及び避難に役立つと認められる情報を、喜茂別町情報通信基盤施設を用いたIP告知端末その他方法により町民及び事業者に伝達しなければならない。

(ボランティア活動への支援)

第18条 町は、町内の社会福祉法人等と連携し、災害が発生した場合において、ボランティアによる被災者への支援活動の円滑な実施を確保するため、活動拠点及び物資の提供その他必要な支援並びに連絡調整を行う体制の確立に努めなければならない。

第3節 災害に強いまちづくりの推進

(応急医療体制の整備)

第19条 町は、あらかじめ災害時における応急医療体制を整備するとともに、災害時においては、医療機関と連携協力し、負傷者の救護に当たらなければならない。

(積雪寒冷期における防災対策の推進)

第20条 町は、豪雪地帯という本町の地域特性に応じ、北海道及び防災関係機関と連携し、積雪又は融雪による災害への対策を推進するための体制の整備を図るとともに、積雪寒冷期における適切な情報の提供、避難路及び避難場の確保等の対策を進めるものとする。

(物資の計画的な備蓄等)

第21条 町は、災害発生時に備え、必要な物資及び資器材を計画的に備蓄し、整備し、及び点検し、並びに必要な避難所等に配備するとともに、災害時における円滑な運搬及び配給の体制を確立するよう努めなければならない。

(応急対策を行うための体制の確立)

第22条 町は、災害時においては、直ちに法第23条の2第1項の規定により設置する災害対策本部を中心とする応急対策を行うための体制を確立しなければならない。

(避難所の開設)

第23条 町は、災害時において被災者の支援のため必要があると認めるときは、速やかに避難所を開設し、運営しなければならない。

2 町は、災害発生時等において避難所の運営に当たっては、自主防災組織、ボランティア等と連携し、要配慮者、女性及び子どもに配慮するよう努めなければならない。

(設備又は設備の復旧)

第24条 町は、災害により電気、通信、交通その他の町民の生命又は社会生活維持に必要な施設又は設備が被災したときは、施設又は設備の提供者に対し、速やかな復旧を要請するとともに、的確な情報提供を行うよう求めるものとする。

(復旧の促進)

第25条 町は、町内に甚大な災害が発生したときは、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携協力し、早期の復旧に努めなければならない。

(協定の締結)

第26条 町は、これまで締結した災害時における他の地方公共団体や公共的団体、事業者等との協定を遵守するとともに、協力の要請を迅速かつ円滑に行えるよう、あらかじめ防災に係る協定の締結に努め、必要な体制を整備するものとする。

(他の地方公共団体への支援)

第27条 町は、他の地方公共団体において大規模な災害が発生したときは、相互協力の理念に基づき必要な支援を行うよう努め、その範囲は近隣町村に限らず広域に支援し初期段階の対応の強化に努めるものとする。

(原子力災害対策)

第28条 町は、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第10条に基づく通報及び同法15条に基づく指示があったときは、町民等に対し的確な情報提供をしなければならない。

2 町は、代替オフサイトセンターの運用が必要な場合は、速やかに運営に協力し、被災を最小限に止めるよう努めるものとする。

3 町は、国道230号及び276号が交差する立地条件を考慮し、北海道開発局及び北海道と連携し、広域避難が円滑に遂行されるよう努めなければならない。

4 町民及び事業者は、自動車の使用の自粛等により広域避難に協力するよう努めなければならない。

第5章 雑則

(委任)

第29条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

この条例は、公布の日から施行する。

開町百年記念喜茂別町防災基本条例

平成28年9月20日 条例第22号

(平成28年9月20日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第6節 災害対策
沿革情報
平成28年9月20日 条例第22号